図書館の自由に関する宣言
日本図書館協会
1954年5月30日採択/1979年改訂
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任 務とする。
- 日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるために は、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である。
知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこ そ表現の自由は成立する。
知る自由は、また、思想・良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を 実現するための基礎的な要件である。
それは、憲法が示すように、国民の不断の努力によって保持されなければならない。 - すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。
この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。
図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である。 - 図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力 をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである。
- わが国においては、図書館が国民の知る自由を保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として 、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たした歴史的事実があることを忘れてはならない。
図書館は、この反省の上に、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である。 - すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性 別、年齢やそのおかれている条件 等によっていかなる差別もあってはならない。
外国人も、その権利は保障される。 - ここに掲げる「図書館の自由」に関する原則は、国民の知る自由を保障するためであって、すべての図書館に 基本的に妥当するものである。
この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。- 図書館は資料収集の自由を有する
- 図書館は資料提供の自由を有する
- 図書館は利用者の秘密を守る
- 図書館はすべての検閲に反対する
- 図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。